1.とてもあぶない
雪道の運転をしたことのある方ならわかると思うのですが、雪道や凍結路面の運転はとても難しく、神経を使うものです。夏場と同じように運転し、ちょっと強めにブレーキを踏んだりしたら、かなりの高確率でスリップし、場合によっては事故につながります。
道路に雪を捨てるということは、人為的に道路を危険な状態にしているということなんです。「溶ければ大丈夫」と言う人もいますが、捨てた雪がすぐに溶けるとも限りませんし、雪が溶けてできた水分が夜に凍結し、さらに危険なツルツル路面になることもしばしばです。
あなたが道路に雪を捨てた結果交通事故が発生し、最悪の場合命を落とす人も出るかもしれません。あなたはその責任をとることができますか?
2.そもそも法律で禁止されている
こんなに危ない道路への雪捨て行為は、やはり法律でも禁止されています。
まず、「道路法」では
(道路に関する禁止行為)
第四十三条 何人も道路に関し、左に掲げる行為をしてはならない。
一 みだりに道路を損傷し、又は汚損すること。
二 みだりに道路に土石、竹木等の物件をたい積し、その他道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞のある行為をすること。
とあり、雪を捨てる行為はこの中の「みだりに道路に土石、竹木等の物件をたい積し、その他道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞のある行為」にあたると解釈され、禁止されています。やっぱり危ないですもんね。ちなみに違反した場合は1年以下の懲役、または50万円以下の罰金となります(同法百二条)。
また、「道路交通法」でも
(禁止行為)
第七十六条 何人も、信号機若しくは道路標識等又はこれらに類似する工作物若しくは物件をみだりに設置してはならない。
2 何人も、信号機又は道路標識等の効用を妨げるような工作物又は物件を設置してはならない。
3 何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。
4 何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
一 道路において、酒に酔つて交通の妨害となるような程度にふらつくこと。
二 道路において、交通の妨害となるような方法で寝そべり、すわり、しやがみ、又は立ちどまつていること。
三 交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること。
四 石、ガラスびん、金属片その他道路上の人若しくは車両等を損傷するおそれのある物件を投げ、又は発射すること。
五 前号に掲げるもののほか、道路において進行中の車両等から物件を投げること。
六 道路において進行中の自動車、トロリーバス又は路面電車に飛び乗り、若しくはこれらから飛び降り、又はこれらに外からつかまること。
七 前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が、道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めて定めた行為
とあり、違反した場合3か月以下の懲役または5万円以下の罰金となるようです(同法百十九条)。
この2つの法律では、雪を道路に捨てることは「道路にモノを置いて交通を妨害すること」に当たるため違法である、ということになります。
一方豪雪地帯では、道路への雪捨てそのものを禁止しているところもあります。日本最北の都道府県・北海道では道路交通法施行細則(北海道警察が制定)で
(道路における禁止行為)
第19条 法第76条第4項第7号の規定による道路における禁止行為は、次の各号に掲げる
ものとする。
(1) 交通のひんぱんな道路において、乗馬又は自転車の運転の練習をすること。
(2) みだりに交通の妨害となるように道路にどろ土、雪、ごみ、ガラス片その他これら
に類する物をまき、又は捨てること。
(3) 交通のひんぱんな道路において、たき火をすること。
(4) 交通の妨害となるような方法で物件を道路に突き出すこと。
(5) 凍結するおそれのあるときに、道路に水をまくこと。
(6) 牛、馬、めん羊等の家畜を道路に放し、又は交通の妨害となるような方法でつない
でおくこと。
(7) 車両等の運転者の目をげん惑するような光をみだりに道路に投射すること。
(8) 交通の危険又は妨害となるような方法で、進行中の車両からみだりに身体を出し、
又は物件を出すこと。
(9) 道路において、みだりに発煙筒、爆竹その他これらに類するものを使用すること。
と定めており、たとえ交通の妨げにならなくとも、雪を捨てた時点でアウトです。
このように道路に雪を捨てる行為は交通安全の面から見ても、法律の観点から見てもとても危険な行為です。積雪地域の方にとって雪の処分は頭を悩ませるとことだとは思いますが、道路にではなく、公共の雪捨て場など、適切な場所に持っていくべきでしょう。
自らの軽率な行為で、誰かの命を奪ってしまうような事態は、避けたいものです。わずかでもその可能性がある行為は、絶対にやめましょう。